0929
海賊版DVD専門の捜査犬がデビュー!という業界ニュースがあった。
捜査犬はラッキーとフロという名のラブラドールレットリバー二匹。MPAA(アメリカ映画協会)が9000ドルかけて、アイルランドで8ヶ月間の訓練を受けた二匹は、ポリカーボネートをはじめとするディスク特有の化学物質の匂いをかぎ分けることができる。が、もちろんそれが正規版なのか海賊版なのかまでは分からない。税関の貨物検査で犬がディスクの匂いを嗅ぎつけ、人間がその貨物のマニフェスト(積荷目録)と照らし合わせる。正規版DVDはマニフェストにきちんと内容が記載されているが、海賊版は記載をごまかしているからすぐに分かるという仕組み。
6月にイギリスの空港でテスト捜査をした際には、巨大なコンテナに僅かにディスクが含まれているような場合もかぎ分けることに成功したらしい。MPAAはこの二匹を連れてロサンゼルス、香港、シンガポール、ドバイをツアーし、捜査犬をアピールする予定。できれば税関で捜査犬を購入してもらい、海賊版の流通を阻止するのが狙いだ。
海賊版の捜査に犬を使うというアイデアは驚き。
話はそれるが、以前、こちらから日本に一時帰国してニューヨークに戻った時、空港で麻薬捜査犬が私のスーツケースに反応してしまったことがあった。係員の人に「もしや、ジャパニーズ・ピクルスが入っている!?」と聞かれ、考えてみたら、確かにおみやげに日本で漬け物をたくさん買っていた。とにかくその場でスーツケースを開けて中身の検査、漬け物が発見されて一件落着。
係員が言うには、麻薬捜査犬が漬け物に反応することはよくあることだそうで、記念にその犬のブロマイドをくれた。
果たして、犬で海賊版摘発はうまく行くのだろうか…?
0907
この夏に公開され、ドキュメンタリーとしては異例の2270万ドルという興業成績に至った”An Inconvenient Truth”(不都合な真実)という映画がある。クリントン政権時代に副大統領を務め、2000年の大統領選挙でブッシュと戦って破れたアル・ゴア元副大統領が、温暖化の危機を訴えて世界中を講演して回った記録だそうだ。ゴア元副大統領はエコロジーの研究者としても知られていて、著書もいくつかある。
「不都合な真実」の米国盤DVDはパラマウントから11月21日、予価$29.99で発売が決まった。Ivy Hillという会社が製作するDVDのパッケージは、紙、インクからコーティングまで、100%リサイクル材を使うそうだ。有機化合物を放出させないためで、プラスチックやラミネートも使用しない。
アメリカは悪名高き環境破壊大国だが、このドキュメンタリーのヒットやリサイクル・パッケージDVDの事が業界ニュースになっているところを見ると、アメリカ人も環境保護への関心が全く無いわけでもないのだろうが・・・この国ではリサイクル・ペーパーを見ること自体が稀だし、ごみの分別は曖昧。日本やヨーロッパとは比べものにならない。
ヨーロッパ盤のDVDは、ゴミ削減のためシュリンクラップ(ケースの外側を覆おうビニールラップ)がかかっていないことがある。買ってすぐ捨ててしまうものだから無くても大きな問題はない。オーストラリアのDVDショップでは、店内にはDVDケースだけが陳列してあって、買いたいものを選んで空ケースをレジに持っていくと、店員が手で直に丸裸のディスクを持ってきた、というエピソードも聞いた事がある。レンタルショップみたいなシステムだがデッキとした販売店。
お国柄でDVDの扱いも随分違うものだ。
0816
この時期、アメリカのDVD業界でも各種コンベンションが次々と開かれている。
ロサンゼルスで現在行われているDisplaySearch HDTV Conference では、ハイ・エンドのAV機器を販売している小売店が集まっているが、次世代DVDを真っ先にユーザーに提供していく役目を果たす彼らの反応は厳しいようだ。
HD DVDとBlu-rayのキックオフについては、「何もかもが急ぎすぎた」「ハイ・デフDVDの登場劇は、新テクノロジーの幕開けの類いとしては最悪」という声が出ている。
具体的には、ディスクのクオリティ(特にBlu-ray)から、在庫数、タイトル、プレーヤーの在庫数まで、どれを取っても不満だというのだ。
こんなエピソードも業界ニュースになっていた。
SamsungのBlu-rayプレーヤーが発売された時、テキサスのあるAV機器ショップでBlu-rayのデモンストレーションを行おうと150人ほどのお客を集めた。ところが店のスタッフはその時点で発売されていたBlu-rayディスクの映像を見るなり、従来のDVDと変わり映えのしない画質に驚き、とても次世代のクオリティとしては紹介できないと判断。幸いにもSamsungのセールスパーソンが持ってきていたデモ用ディスクの画質が素晴らしかったので、そちらを見せることで解決した。
また、メディア・リサーチ会社 Screen Digest では、今年中にHD DVD、Blu-rayのいずれかがDVDの後継ディスクとして優勢になるようなことないだろうと予想している。この会社のアナリストはフォーマット競争がユーザーの購買意欲を失わせる結果になっていると分析。HD DVDとBlu-rayの2つのフォーマットは今後も共存し続け、いずれ価格とフォーマットの問題を解消した低価格デュアル・ディスクのようなものが登場して現在のハイ・デフに取って代わるだろう、とコメントしている。
レポートでは2010年にはパッケージ・メディア(映画やゲームソフトなどのメディア)の市場は390億ドルで、次世代DVDの市場はそのうちの約30%、110億ドルになると予測している。
ところで、ある調査で、2つのフォーマットの登場からそれぞれ6週間の間のプレーヤーの販売台数を比較すると、HD DVDプレーヤーがBlu-rayを33%上回っていたということが分かった。つまりBlu-ray100台に対してHD DVDは133台のペース。しかし価格差があるから、Blu-rayの方が売り上げ額では42%も上回っている。
Blu-rayプレーヤーは、それほど売れていないのかと思っていたので、試しにFantasium での7月の両フォーマットのソフトの販売数を比較してみたら、枚数にしてHD DVDソフトはBlu-rayソフトの1.6倍売れている。果たしてこの差は、今後どう影響するのか・・・。
0808
今日届いたアメリカDVD業界誌に、今度はコンサート・ホット・スポット (Concert Hot Spot) 社のスティーブ・デヴィック社長が「HD DVDとBlu-rayは共存する」というコメントを載せていた。それによると、HD DVDとBlu-rayの異なるフォーマットが出現して以来、一方が生き残ってもう一方が消滅することが予想されているが、それはBetamaxとVHSのフォーマット競争の時代の考え方であって、現在はビデオゲーム機がそうであるように異なるフォーマットが共存できると言うのだ。
その最大の理由は、ゲームユーザーはいくつかのフォーマットの違い、非互換性を受け入れており、DVDユーザーもそうなり得るというもの。今年中にはXboxでHD DVD、PlayStation 3でBlu-rayが観賞可能になる予定だから、ゲームユーザーがそれぞれハイ・デフDVDを観るようになれば、確かにそういう可能性もあるのかもしれない。
デヴィック社長は今年中には500万から750万台のハイ・デフハードウエアの普及を予測している。
さすがミュリエル・アンダーソンなどのタイトルをHD DVD、Blu-ray両フォーマットのディスクでいち早くリリースしている会社の社長らしい意見。デヴィック社長は、もちろん自分でもToshiba HD DVDとSumsong Blu-ray プレーヤーの両方を所有していて、それぞれ違いはあるがどちらも素晴らしいプレーヤーだと言っている。そして、SDとハイ・デフの違いはモノクロTVとカラーTVほどの差があると。
将来は、ワーナーやコンサート・ホット・スポットのように、どちらのフォーマットでも発売することが当たり前になっていく可能性もある。とにかく新しいタイトルは全部、両フォーマットで同時発売になれば、自分の持っているゲーム機やパソコンで観る事ができる方を買えばいいのだ。好みによってどちらか一方のプレーヤーだけを買ってもいいし、マニアは両方のプレーヤーを所有して比較しながら観るようになるかもしれない。そう考えると面白そうだ。
ちなみに、デヴィック社長はクリスマスプレゼントとして子供たちにプレステ3を買ってあげて、自分もそれでBlu-rayを観て楽しむつもりだということだ。
0803
20th Century Fox Home Entertainmentのマイケル・ダン社長がアメリカのDVD業界紙のインタビューに答えて、こんな発言をしていた。
First of all, the format war is really only going on in the press. Come the late fourth quarter, starting in November, Blu-ray is going to be showing huge numbers. The early adopter is going Blu-ray, and I think it will be readily apparent to that crucial second tier of consumers that Blu-ray is the obvious choice.
It really is an easy argument to make. Right from the start, Blu-ray is going to be in consoles, computers and video games. You’ve got 170 companies involved, many of which are among the most trusted consumer brands, along with every major motion picture company but one. The penetration of Blu-ray is going to be in the millions of households by early 2007, compared to less than 100,000 households for HD DVD. And, it will penetrate faster than DVD did — going from zero to 10 million households like a rocket. Once the delta between the two formats begins to widen like that early on, it becomes a Blu-ray no-brainer for the consumer.
<和訳>
第一にフォーマット戦争は実際にはマスコミで起きている現象だ。第4四半期後半、11月以降になればBlu-rayは圧倒的な数になるだろう。新しモノ好きはBlu-rayに飛びついているし、鍵を握る次の客層にとってもBlu-ray選択が明白になっていくと思う。
理由は簡単。Blu-rayはコンソール、コンピューター、ビデオ・ゲームに搭載されるようになる。信頼性の高いブランドに加えて、一社を除くメジャー映画スタジオすべてを含めた170社がBlu-rayに携わっている。2007年初頭までのHD DVDの普及は10万世帯以下だろうが、Blu-rayは数百万世帯に及ぶだろう。さらに、普及のスピードはDVDの時よりも早い — ロケットの如く、全くのゼロから1000万世帯へ行き渡る。早期に2つのフォーマットの差が一度広がってしまえば、消費者にとってBlu-rayが当たり前になっていくのだ。
「一社を除くメジャー映画スタジオすべて」の一社とは、ユニバーサルのことと思われる。この記事でマイケル・ダン社長のコメントは一貫して「Blu-ray支配に決まっている」という口調だ。それにしても、すごい自信ではある。