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通勤のためブルックリンからマンハッタンに向かう地下鉄では、予想外の事態が時々起きるが、今朝のはひどかった。いつもFラインという路線に乗っているのだが、今日は4つ目の駅に着いたところで車内アナウンスが流れた。
「このFライン列車は、ここからGラインに路線を変更します。マンハッタンには行かずクィーンズに向かいます。」
やれやれ、またか。列車が途中で完全に路線を変更するなどと、地下鉄の運行そのものの信頼性をなくすような事がニューヨークではしばしば発生する。仕方なくその駅で列車を降り、後続のFラインに乗り込んだ。すると、またもやアナウンス。「このFライン列車は、ここからGラインに路線を変更します・・・」
2度目はいくら何でもおかしいなと思っていたら、続いてアナウンスは、「West 4th ステーションで火事のため、Fラインは運行停止します。このままGラインに乗って次の駅でAラインに乗り換えてください。」とのこと。
指示通りにGラインに乗って、次の駅でAラインに乗ったのだが、列車は一向に動き出さない。そしてまた車内アナウンス。「West 4th ステーションで煙発生のため、大幅に遅れて運行しています。」
ふと、「テロ」という2文字が頭をかすめた。
火事や煙がどういった状況で発生したのか分からない限り、地下鉄は一度降りた方が賢明かもしれない。少し考えて、とにかく列車を降りた。駅構内では「レール上の異物により運行に遅れが出ています」というアナウンスが流れている。いよいよ何が起きたのか分からない。
外に出ると、そこはまだブルックリンのダウンタウン。取りあえずオフィスに電話して状況を伝え、バスに乗っていったん自宅に帰ることにした。異常を感じたら無理して進まずにとにかく家に帰ること — 9・11テロや2年前の大停電からの教訓だ。
自宅に戻ってテレビをつけると、ローカルニュースではWest 4th ステーション付近で路上にもうもうと煙が上がる様子を中継している。駅の倉庫から火が出た疑いらしい。地下鉄も路上も大混乱だ。
仕方ないのでしばらく自宅のコンピューターで仕事をする。何とか朝の業務に間に合わせ、2時間ほど経って、地下鉄が運行再開というニュースを聞き、再び地下鉄の駅へ。既に12時を廻っている。
もう大丈夫だろうと思ったのが甘かった。混乱しきったダイヤのおかげで電車は徐行運転しかできない。小一時間かかって、4つ目の駅に着いたところで、車内アナウンス。
「このFライン列車は、ここからGラインに路線を変更します・・・」
二度あることは三度か、やれやれ。
ようやくオフィスにたどり着いた時には、もう午後2時だった。
1019
この言葉から、あなたは何を連想するだろうか。昔話に出てくるようなあばら家? ドリフのコント?
世界最先端でスタイリッシュな大都会と思われがちなここニューヨーク・マンハッタンのアパートで、雨に怯えて暮らしている。今住んでいるアパートは、いわゆるウエストハーレムと呼ばれるエリアにあり、確かに相場よりは安めの家賃だったが、まさかこの時代にこの都市のアパートで雨漏りに悩まされる羽目になるとは夢にも思わなかった。ちなみに我が家は最上階である。
そういえば芳しくない兆候はあったのだ。前の住人(日本人)が引っ越して行ったとき、リビングルームの壁に一筋の水の跡。水が流れた先にはお湯飲みが置いてある。「ちょっと雨が染み出してきたんで、スーパー(管理人)に直すように言っておきますねー」と言い残して引っ越して行った彼女だったが、スパニッシュ(スペイン語を話す南米の人ではなく、本当にスペインから来たスペイン人だった)の良くも悪くも陽気でのんきなスーパーは、その後何度も私が文句を言いに行かなければさっぱり直してくれなかった。
天井と壁の染みを、塗って直してもらってようやく安心。ある大雪後の快晴の日。…天井の直してもらった所とは別の箇所に染みが広がりつつあるんですけど。屋根に積もった雪が溶けて、うちの天井に染み出してきたのであった。これを直すのにもまたさんざん待たされ、やっと直ったと思ったら夏のハリケーンシーズンに大雨でさらに別の場所に染みができ、壁を水が伝い落ち。こんなことの繰り返しでいい加減にしてくれと思いつつも、スーパーが直してくれる度に「今度こそもう大丈夫」と思い込むことにしていた。
そして去年の夏のハリケーン。確か8月だったと思うのだがいつもに増してひどいハリケーン襲来で、NYC全域にわたって地下鉄が不通になり、バスもなかなか来ないし、来ても大混雑でなかなか乗れないし、普段なら40分で着く職場へ行くのに2時間かかった日があった。街中プチ洪水状態の大雨。この日、ついにベッドの上の天井に1本の亀裂が入る大雨漏りが生じたのだった。こりゃたまらんと、スーパーにすぐ直してくれと言いに行ったが、同階の他のアパートはもっとひどいことになっているから君の家は待てと写真を見せられた。確かに写真に写っているアパートでは天井に完全に大きな穴が開いており、ドラム缶を置いてその中に水がドバドバと落ちている状態。そ、そりゃうちよりそっちの方が先に対処すべきよね(汗)とその時は納得したのだが、結局うちが直してもらえたのはその3ヶ月後なのだった…。
直してもらえるまでは、雨漏りの箇所から移動させた家具が邪魔な場所に置いてある状態なわけで、普通に生活するにはけっこうなストレスなのである。もちろん、次にまた雨が降ったらまた雨漏りするという心労もある。またスーパーや修理屋が働いてくれるのは平日のみなので、平日の昼間働いている身としてはスーパーが家に来る日を決めるのも一苦労。そして修理に来るときには、靴を脱いでなどくれないので(安全上の問題もあって脱がないことになっているらしい)、来る前には床に新聞紙を敷き、汚れたら困る家具などを防御。完全にお迎えの準備をして1日待っていても、約束の日に来なかったりもする…。時間なぞは守ってくれる方が奇跡だ。
ともあれ、去年末にようやく天井の亀裂を直してもらい、今年の夏前には屋上で何やら工事の気配、アパートのビル内の壁を一気に塗り替えたりもしていたので、おおこりゃやっと本格的に根本的に屋根も直してくれたのだな、これなら今年の夏はようやく安心して過ごせるか、と安堵。
そして今年8/14のハリケーン。バケツをひっくり返したような大雨の中必死で外出、帰宅すると、
(沈黙)
やっぱり雨漏りしてるじゃん!!!
去年の亀裂の所ではないにしろ、その前の前の前くらいに直してもらったはずの天井と壁だ。うんざりしながらまた家具を移動させて、スーパーに部屋を見てもらうが、オーナーが今夏休みでいないので修理できないとほざく。そしてそのままほったらかされていたところ、先週と先々週に8日間降り続いたアンビリーバボーな長雨。なんと雨漏りの集大成と言わんばかりに、今まで直してもらった箇所全てに染みが広がり、元亀裂の部分には小さな穴が開いて、半日で大きめの鍋いっぱいに雨水がたまる程の雨漏りオンパレードになってしまったのだった。
日本では、台風や大雨が続いたって(そもそも梅雨があるくらいだし)、雨漏りなんてめったに聞かない。築30年の実家だって、雨戸はそろそろガタピシし出したとはいえ雨漏りの心配なんてしたこともないのに、世界に名だたるニューヨークのアパートなんて、こんなもんなのである。もちろん、雨漏りなどしていない家の方が多いのだが、「雨漏りした」と言ってもそんなに驚かれないニューヨークのアパート事情。少なくとも私より断然良い場所に住んでいるであろうアメリカ人の初老の大学講師は、9年間雨漏りに悩まされているそうで、「NYCの大家の無責任さにはあきれるわ」と憤慨していた。
ついに業を煮やし、私はリース(賃貸契約)が切れる来月末で今のアパートを出ることに決めた。もちろん今も先週の雨漏りオンパレードはそのままである。現在、観測史上最強のハリケーン「ウィルマ」が接近中だそうで、今週末辺りニューヨークもまた雨が降るようだが、もう雨漏りの覚悟はできている。とにかく引っ越すまでの数週間、私の家具や持ち物が雨でダメにならないことを祈るばかり。