0703
The Matador (Widescreen)
2006/7/4発売 米国盤DVD
2005年リチャード・シェパード監督作。ピアース・プロスナン主演。
プロの殺し屋として長年のキャリアを持つジュリアン(ピアース・ブロスナン)は、そろそろ中年にさしかかり仕事も人生もスランプ気味。楽しみは酒と女だけ、住所不定で依頼があれば世界中どこへでも出かける生活に疲れを感じていた。メキシコでの仕事を終えた誕生日の夜、気軽に電話をかける友人もいないジュリアンはホテルのバーに向かう。バーの客は見るからに平凡なサラリーマンのダニー(グレッグ・キニア)ただ一人。ジュリアンとダニーは少しの間会話を交わすが、ジュリアンの軽薄な態度に腹を立てたダニーは怒ってその場を去ってしまう。翌日、お詫びのしるしにとダニーを闘牛場に誘ったジュリアンは自分の秘密を明かし、やがて二人の間に奇妙な友情が芽生えるのだった・・・。
「007」シリーズのジェームス・ボンド役を引退したピアース・ブロスナンが、くたびれた中年殺し屋をノリノリで演じた痛快コメディ・ドラマ。
「007」からがらりとイメージを変えてコメディに出演のピアース・ブロスナンがすごくぴったり来ていて、役どころの広さをアピール。下っ腹が出た中年男がビキニの水着とブーツ姿で、ビールを飲みながらホテルのロビーを歩く姿なんてのも披露してしまう。強くてスマートな役ばかりやってきた二枚目俳優がいきなり情けない男を演じるとちょっと惨めに見えてしまいがちだが、このピアース・ブロスナンはよれよれの殺し屋を演じてもじゅうぶん魅力的。殺し屋って本当はつらいんだろうなあ、という同情心さえ湧いてくる。その孤独な殺し屋を受け止めてくれるのが生真面目顔のグレッグ・キニア。この意外なキャスティングが絶妙にマッチ。ダニーの妻を演じるホープ・デイビスも含めて、映画監督としては無名に等しいリチャード・シェパード監督が的確な演出でキャストの様々な表情を引き出している。
ピアース・ブロスナンあってこそ成り立っているような映画だが、ストーリーはちょっとしたツイストを効かせた予想外の展開もあって結構楽しめる。ただし結末はもっと詳細に観たかった気がするので、非常に惜しいところ・・・。
DVDは5.1ch音声の意外な迫力に驚いた。コメディだと思ってボリュームを高めに設定していたら冒頭の爆発がすさまじい大音響。映像は色を強調したような鮮度の高い発色。全編安定した高画質でクリアー度、人肌のリアル感も優秀。字幕は英語とスペイン語を収録。
特典として、監督コメンタリー、監督、ピアース・ブロスナン、グレッグ・キニアの三人が参加のコメンタリー、メイキング、カットシーン、監督へのラジオ・インタビュー、予告編を収録。
0702
ToshibaのHD DVDプレーヤーHD-A1がようやく届き、この週末にセットアップが完了した。HD-A1は日本では出ていないモデルで、アメリカでの小売り価格は$499。発売以来、ずっと品切れ状態が続いていて、今でも注文してから手に入るまでに何週間かかかる商品だ。
セッティングはこれまで使っていたシステムに(各機器は「Editor’s Choice 視聴環境」の通り)HD DVDプレーヤーを追加する形になった。
早速観た一枚は、アンドリュー・ロイド・ウェバーによるヒット・ブロードウエイ・ミュージカルを絢爛豪華に映画化した「オペラ座の怪人」。見終わったばかりのところで思いつくままに感想を。
まず、従来のDVDとHD DVDの両方をセットして同時に再生を開始、画面を切り替えながらその映像を比較したのだが・・・。
HD DVDの映像は、言葉にはできないほど素晴らしい!!
「オペラ座の怪人」の従来のDVDはレビューアーによると5点満点中4.5点を付けられる高い映像クオリティだったのだが、DVDとHD DVDはまったく別モノと考えた方がいいくらいの違いがある。これほどの違いを見せつけられたら、誰でも打ちのめされるような衝撃を受けるだろう。
大まかな印象としては、クリアーな映像、ディテールの情報量の多さ、奥行きなど遠近感に優れているという感想を持った。
映像がどのくらいクリアーに感じるかと言うと、HD DVDと比べると今までは輪郭がボケた絵を見ていたとしか思えないほど。従来のDVDはざらつき感があって、紗が掛かったているように見えるが、HD DVDの方はざらつき感を完全に取り去ったシャープな輪郭になり、より締まった絵になっている。鮮度の高い色は、特に暖色がきれいだ。
ディテールの情報量の多さでは、美しい人や物はより美しくなるのだと実感。エミー・ロッサムのゆで卵のような肌のつるつる感と輝きは、実際に触れられそうなほどリアルで美しい。そして、バックグラウンドの様子、建物や衣類の細かい絵柄まではっきり見えている。これまではフラットにしか見えていなかった衣装のレース部分の柔らかい感じとか、スパンコールの質感も手に取るように感じられる。
さらにコントラストが強めになるのと、フォーカスされている部分とそうでない部分がより明確になり、奥行きのある映像が広がっている。3Dとまではいかないけれど、明らかにこれまでの空間とは違った距離感がある。
音声については、再生環境と自分の知識の乏しさから具体的な違いまでは分からなかったのだが、とにかく映像は愕然とするほどに素晴らしかった。
いい映像で観ると、映像が訴える力は何倍も大きくなる。
「オペラ座の怪人」は米国盤、PAL盤で何度も観ており、おまけに半年間は毎日サントラを聴き続けていたので、もう最近は感動から遠ざかってしまっていた。今回は始めてきちんと観るHD DVDだから映像を隅々まで点検しよう、と、クオリティ・チェックの方に意識を向けていられたのも本編の中盤ぐらいまで。あとはまたもや映画の世界にすっかりのめり込んでしまい、しっかり堪能してしまった。それも優れた映像のお陰で新たな発見があったり、エミー・ロッサムの美しさにうっとり見とれてしまったり、人物の微妙な表情の変化まで見て取れるようになって感情の伝わり方が一層強くなったからだ。
HD DVDのクオリティについて語ろうと思ったら、レビューアの冷静な視点で見なくてはいけない、と思うのだが、それが難しい。好きな映画をあんな素晴らしい映像で観られるのなら、余計なことは忘れて身も心もその世界に預けてしまいたい・・・。