0410
4月10日はDVD Fantasium のオープン記念日。今年で6周年になる。
本当なら皆でお祝いをしたいところだが、月曜日は翌日の発売日に合わせて深夜まで更新作業のうえ、今日から始まった6周年記念セールの準備のため祝杯どころではなかった。
この6年の間にDVDは世界中で急速に普及し、人々のホームムービー環境は大きく変わった。DVDの発売タイトル数は6年間で10倍以上になったし、価格はハード、ソフト共に割安になり、画質、音質のクオリティーも著しく向上した。
さらにオンラインショップ側としてつくづく思う事は、DVDのメーカーやディストリビューターの対応が格段に良くなったという点で6年前と今では雲泥の差があること。それはアメリカ全体のサービス体制が改善されてきていることとも無関係ではないと思う。
つい数年前まで、アメリカのDVDメーカーやディストリビューターは、発注システムなどのインフラが遅れていて、電話やFAXでしか発注できなかったから大量発注は大仕事だった。おまけに対応が悪いセールス担当者にはいつもウンザリ。人によって言うことが違う、言った事とやっている事が違う・・・と頭の痛い事が多かった。
それが4年ぐらい前から徐々に改善されてきた。発注はインターネットで管理できるようになり、セールス担当者も正確なことを言ってくれるようになった。あらゆる面で取引の手順が「簡単」になっていった。
アメリカ社会は、「仕事ではミスが発生する」という大前提があり、「問題は必ず起きるから、その対応策を用意する」という考えが基本にあるように思う。仕事ではミスが起きるものだから、できるだけやり方は「簡単」な方法にしてミスを防いだり、問題が起きた時にはそれも「簡単」に対処するように改善する。「簡単」になったお陰で誰もが状況を理解できるようになり、人によって言うことが違うという混乱も減っていった。その考え方の積み重ねのお陰で、こちらも手間がかかったり複雑なことがなくなって、「簡単」になっていった。
大まかに書くと観念的のようでもあるが、日々の自分の仕事の範囲内だけでもそんな変化は感じている。それも、これまでに多すぎるほどのミスや問題を起こしてきたアメリカの企業だからこそ出来たことかもしれない。
0407
Derailed (Unrated Widescreen Edition)
2006/3/21発売 米国盤DVD
2005年 Mikael Hafstrom監督作。クライヴ・オーエン主演。
シカゴの広告代理店でエグゼクティブの地位にあるチャールズ(クライヴ・オーウェン)は、糖尿病を患う一人娘への心配が耐えないながらも親子3人で楽しく暮らしていた。ある朝、いつもの電車に乗り遅れて次の電車に乗ったチャールズは、切符を買い忘れた揚げ句に現金の持ち合わせがないことに気付く。車掌に電車を降りるよう迫られたチャールズの代わりに、近くに座っていたルシンダ(ジェニファー・アニストン)が切符代を払ってくれた。翌朝、チャールズは同じ電車に乗ってルシンダにお金を返し、2人はそのまま別れたが、ルシンダに惹かれたチャールズは思い切って彼女の勤めるファイナンス会社に電話をする。ディナーだけのつもりがバーでお酒を飲む事になり、そしてその後、2人が向かった所は・・・。
「シン・シティ」のクライヴ・オーウェンと大ヒットTVシリーズ「フレンズ」のジェニファー・アニストン共演のサスペンス・ドラマ。監督はスウェーデンのMikael Hafstrom。
タイトルの「Derailed」は「脱線」の意味。
つい3週間前にはアメリカ国内DVDレンタル・チャートでトップになっていた作品だ。米国盤は、Unrated ワイドスクリーン盤、Unrated フルスクリーン盤、R Rated フルスクリーン盤の3種が同時発売。
今回視聴したのは劇場公開版より5分長いUnrated ワイドスクリーン盤。公開時には削除されていたと思われる、ベッドシーン中のきわどい映像にはちょっと驚いた。「フレンズ」終了後、シット・コムのおめでたいキャラクターからのイメチェンを狙ってシリアスな役どころに挑戦したジェニファー・アニストンだが、見せ場は衝撃のベッドシーン。ジェニファー・アニストンにこんなことさせていいの?とか、こんな声出させていいの?と思ってしまった時点で作り手の思うツボだろう。この驚きはメグ・ライアンが「イン・ザ・カット」でヌードになった時のものと似ているが、メグ・ライアンほど見苦しくはなかったし、「イン・ザ・カット」のメグ・ライアンは文学の教師にはとても見えなかったが、ジェニファー・アニストンのキャリア・ウーマンはさまになっていると思う。
「オーシャンズ12」に出ていたヴァンサン・カッセルが悪役で登場、かなりインパクトのある演技。クライヴ・オーウェンはマイク・ニコルズ監督の「クローサー」の時ほどではないが、今回もなかなか濃い味が出ている。
作品自体はものすごく良くできた映画という訳ではないのだが、意外などんでん返しもあってサスペンスとしてはそこそこ楽しめる。レンタルが好調というのもうなずけるような、家のTVでリラックスして観るのに適した一本だ。
2.35:1アナモルフィックの画質は、シャープ度をワンレベル上げることも可能だったと思われるが、全体に安定した良質な映像。5.1ch音声も申し分ない。字幕は英語とスペイン語を収録。特典はメイキング、カットシーン(娘の病気の治療に関わる病院のシーン)、劇場予告編。特典映像には英語字幕はないが英語CC収録有り。
0406
お昼頃ランチを買いに外に出たら、会社のビルの前にストレッチリモが止まっていて、その前にユダヤ教徒らしき人たちが何人か話をしている。すぐ側のマジソンスクエア・パークの前にバスが何台も止まっていて、ユダヤ教徒たちがなにやら布教活動をしているようだ。が、バスに備え付けられたスピーカーのクオリティが悪く、声はぶつぶつ言っているだけのように聞こえるので何を言っているのか全く意味不明。
昨夜からユダヤ教のパスオーバー(過ぎ越しの祭)が始まったとばかり思っていて、このブログにも昨日そのように書いたのだが、実はこの祝祭は来週からだということが発覚。我ながら自分とは違う文化についてはいいかげんなものだ。パスオーバーの8日間は働いてはいけないそうで、ユダヤ教徒は仕事をしない。
宗教や文化が違うと休日も違ってくる。例えば日本人ならお正月の三箇日は休みたいものだから、Fantasium もできるだけ3日までお休みをさせてもらっている。が、休んでいると取引先の関係者に迷惑をかけてしまったり、「何で休むのだ」と文句を言われたこともあったので、年によっては3日が初仕事になる。アメリカは1月2日が仕事始めだから、できるだけ迷惑や混乱を起こさないようにこちらも合わせているのだが、ユダヤ教の人たちはそんなことは考えない。信仰最優先。マンハッタンにある有名なユダヤ系の巨大カメラ店は、宗教活動のため普段から金曜の午後と土曜は休業しているぐらいだ・・・ウィークエンドに商売を休むなんて、信じがたい。
夜はリンカーン・センターに「シネマ・セレナーデ」という演奏会を聴きに行く。「ロード・オブ・ザ・リング」のハワード・ショアの書き下ろしとか、「スター・ウォーズ」のテーマを作曲家のジョン・ウィリアムズと二人のピアニストが連弾用にアレンジした曲の演奏は、客席から拍手喝采。8時に始まったコンサートは10時過ぎまで続いた。
今夜もそうだったが、アメリカ人というのは、真面目な演奏の最中であってもちょっとユーモアを交えた曲の展開になったりすると、クスッと言ったりとか、声に出して笑ったりするのには違和感を覚える。映画の一番シリアスな部分で笑い声が挙がったりするのと同じだ。決して「可笑しい」ものではなく、「興味深い」とか「面白い」と感じるのが自然だと思うのだが。クラシックのコンサートで笑い声なんて・・・信じがたい。
0405
朝、会社に向かう地下鉄に乗ろうとしたら、車内がいつもより空いていることに気がついた。はて今日はジューイッシュ(ユダヤ教徒)の祝日だったかな?と思いつつ電車に乗り、新聞を開いてみて、パスオーバー(過ぎ越しの祭)というユダヤ教の三大行事が今夜から始まることを知った。
ブルックリンにはユダヤ教の人たちが集まる住宅街があり、いつも通勤に使っている地下鉄の路線はジューイッシュの利用者が結構多い。ぶつぶつ言いながら熱心に聖書を読んでいる人が必ずどの車両にもいるものだ。信心深い彼らは、ユダヤ教の祝日はきっちり仕事を休むのでいつもより電車が空いている。パスオーバーは、紀元前約13世紀のエジプト脱出と奴隷解放を祝う重要なお祭りだ。
去年のパスオーバーの日、会社に行ったら天井から水が少し滴っていた。上の階のラジエーター(ヒーター)から水が漏れているのだろうと思い、すぐビルのマネージメント会社に連絡したところ、係の人が真上のオフィスの様子を見に行ってくれたのだが、運悪くそこがユダヤ系の会社でその週は完全休業中。すぐには対処してもらえず、係の人はバケツを置いただけで去っていった。
うちのオフィスの天井はペンキがはがれ落ちてきて、しかも自分のデスクのすぐ脇だったのでたまったものじゃなかった。
今年はこれだけ暖かいし、ヒーターも止まっているから大丈夫、と思っていたら、快晴だった空がみるみるうちに暗くなってきて、お昼前にはついに猛吹雪となった。4月になってこんな大雪が降るとは!
ふと気がつくと、ラジエーターが暖かくなっていたのでぎょっとする。ヒーターを点けるほど寒くないのに。(全館暖房なので管理会社の判断でヒーターが稼働する)ここ数日は暖かくてヒーターは止まっていたのだが、しばらくぶりに入ると水漏れがしやすいなんてことはないだろうか?と心配になって天井を見上げた。
天井は去年の水漏れのシミと、はげ落ちかけたペンキが修理されないまま放置されていた。
0404
Brokeback Mountain: Story To Screenplay
アン・リー監督の話題の新作「ブロークバック・マウンテン」の原作短編小説と映画シナリオに加えて、原作者のアニー・プルー、プロデューサーのラリー・マクマートリー、脚本家ダイアナ・オサナによるエッセイをまとめた一冊。映画のシーンからの写真も8ページ分挿入されている。
原作者のアニー・プルーは、ケヴィン・スペイシー主演で映画化された「シッピング・ニュース」でピュリッツァー賞を受賞した、今年で71歳になる女性だ。もともとはジャーナリストで小説を書き始めたのは50代になってからだという。「ブロークバック・マウンテン」の原作は1997年10月に「The New Yorker」に掲載され、その後、9つの短編を集めた「Close Range: Wyoming Stories」という本で出版されている。
今回読みたかったのはその短編小説。僅か28ページだから、アメリカ人ならあっという間に読めてしまう長さだ。脚本家の2人はアカデミー賞で脚色賞を取っているが、28ぺージに綴られた言葉からどうやって134分もある重厚な映画が生まれたのかちょっと不思議だった。
映画は小説に忠実で、小説に書かれていることはほとんどすべて映像化されていた。さらに映画では主人公のエニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ギレンホール)それぞれの家族をより多くの場面で登場させ、話を膨らませている。映画と違っていたのは、原作ではトレーラーハウスに住んでいる中年になったエニスの描写から始まるところぐらいだろう。
小説も良かった。一切無駄のない、力強く繊細な文章。大自然の映像をありありと思い出した。それでも映画のインパクトが強すぎて少々物足りない気持ちで読み進んだが、最後の方でじわっと来た。ジャックのエニスへの想いが表れているシャツの描写のところだ。映画ではセリフは全く無かったシーン。この部分だけ何度も読み返したいほどに、一つ一つの言葉を大切に、ジャックの想いが書かれていた。これは映画にはなかった良さだ。