0429
この間、「ブロークバック・マウンテン」のフルスクリーン盤とワイドスクリーン盤のDVDを比較したレビューを書いた。いつもは映画館と同じ画面ワイドスクリーン盤しか観ないのだが、フルスクリーン盤のことはずっと気になっていて、何本かの作品をフルとワイドと並べて同時再生して観てみたら、ワイドには映っていないがフルでは映っている部分が結構あることを発見。今話題の「ブロークバック・マウンテン」で画面比較をしてみたのがこのレビューだ。
フル/ワイド比較はなかなか面白く、これからは好きな映画はフルスクリーン盤も買わないと気が済まなくなりそうになってきた。そこで「プライドと偏見」のフルスクリーン盤を観賞。この作品は「ブロークバック・マウンテン」とはまた違ったところでフルスクリーン盤も一見の価値ありだ。
例えば、舞踏会のシーンでは現場に沢山のエキストラがいるのだが、ワイドでは映っていない人がいたり、画面の隅々まで配置されている小道具類の一部がワイドでは結構切れてしまっているが、フルでは見えている部分がある。
もっと注目したいのが「手の演技」。ワイドでは人物アップになるとどうしても肩の辺りまでしか映らないのだが、フルではもっと下まで映っている。例えば、雨の中でダーシーがエリザベスに告白するシーン。あのシークエンスの途中、手にしていた帽子をエリザベスがちょっと持ち直す仕草がフルでは見えているのだが、ワイドでは帽子はまったく映っていない。完全に顔の表情にだけ集中してしまうワイドとは違い、このちょっとした動きがとても斬新だった。
同じように、シャーロットの家で、コリンズが「キャサリン・デ・バーグ夫人宅に招かれた」とエリザベスに告げるシーンでも、エリザベスが両手をナーバスそうに動かしている様子がワイドでは切れているがフルでは映っている。
もっと驚いたのは、ピンバリーのダーシー家でダーシーがガーディナーを釣りに誘うシーン。話をしながらダーシーが左指を神経質そうに動かしているのが、ワイドでは全く映っていないがフルでは見えている。この場面はエリザベスに拒絶されたダーシーが少しずつ変化を見せ始め、初めて笑顔を見せる重要なシーンだ。ダーシー役のマシュー・マクファディンは前半の硬い表情から一転して和やかな笑顔で見事に演じていたが、ダーシーが本当は緊張を隠そうと一生懸命になっている微妙な心境が、この手の細かい動きに表われている。
俳優はどんなシーンでも全身で演技をしているのだと改めて気付く。その演技をカメラワークによってより劇的に見せるのが映画だが、「映画では不要とされた部分」が見えているフルスクリーンでは隠された表現を垣間見ることができる。
ワイドスクリーンと比べると、フルスクリーンは「お茶の間感覚のTV画面」になることも事実だが、ワイドと比較することで好きな映画をより深く観ることができる。これからは常にワイドスクリーン、フルスクリーンの両方で観てみたいものだ。しかし、それでなくとも本編と特典映像を全部観ると平均4時間ぐらいはかかってしまうDVD観賞。フルスクリーン盤まで観るとなると時間のやりくりが一番の問題かも・・・。
0428
午前中、インターネット・プロバイダーのN社から新しいオフィスのT-1インストールは週明け月曜日になるという電話あり。
よしよし、今度こそ、ちゃんとネットワークが入るかな。
今日は朝からペンキ職人が新しいオフィスの壁にせっせとペンキを塗ってくれているし、ネットワークが無事に入れば、来週金曜日には引っ越しができる。
引っ越しの日は午前中はいつも通りの業務をして、午後から一斉に作業開始、同じフロアの反対側の部屋へ移る。移動やセッティングは夕方には完了させ、こまごまとした片づけは土日に行う。翌月曜からは何事もなかったかのように通常営業に戻るつもりだ。
この引っ越し予定日はまだ仮のものである。
ペンキ職人がサボらずペンキを塗ってくれるか、カーペットは約束通り完了するか、ネットワークが問題なく繋がるか・・・という事がすべて解決して初めて引っ越しをできる。いちいち相手を信用できないから、その時になってみないと分からない。もしダメな時は引っ越しを1週間先送りするだけの話だ。
午後、いつもの通りサルバドールがゴミ収集にやってきた。そして「昨日残っていた最後のデスクも引き取ってもらったよ」という嬉しい報告。どうやらあちこちのオフィスで「いいデスクがあるがいらないか」と聞いて回ってくれたようだ。何度もお礼を言うと、サルバドールは、「俺は皆が快適に居てほしいだけさ」とだけ言って去っていった。
夕方、6時過ぎに新オフィスを覗くとまだペンキ職人が頑張っていた。ペンキ塗りは順調に進行中。昨日選んだ「ホワイト・ブラッシュ」という色が大正解だったようで、部屋が見違えるように明るくなっている。いい感じ。スタッフ皆が楽しみしている、自分たちで作る新空間なのだ。快適なオフィスに仕上がってもらわないと!
0427
朝一番でオフィスビルのマネージメント会社のジェームズに電話。新オフィスの床の改装の見積もりの催促だ。
しばらくしてジェームズからコールバックあり。床のフローリングやタイルをやり直すのは予想外にコストがかかることが分かり、すぐさま断念した。その代わりカーペットを張り直してもらうことに。カーペット代は大家が負担してくれるので、うちの会社の出費はゼロで済むのだ。
と、思っていたらここで問題が。
移転先の前のテナントが引っ越していった際に、そこにあったキャピネットやテーブルを譲り受け、それをそのままそこに置いておいあるのが邪魔になりそうなのだ。さらに、以前のテナントが「後で捨てて欲しい」と言って置いていったデスクが3つある。それも、ジェームズがそこにそのまま置いておいて構わない、と言ったからだ。
ところが今日になって、ジェームズは「家具があるとカーペット屋が手数料を取るかもしれないから、できれば移動した方がいい」と言い出した。こちらは余計なコストがかかっては家具を譲り受けた意味もない。そんなばかばかしい費用は出せるものか、と怒りながら、家具を置きっぱなしにしていい、と言ったジェームズを信じた自分がばかだったと後悔した。
家具を移動しようにも、今のオフィスにはもうこれ以上物を置くスペースはない。あんなに沢山の家具をどうしたらいいのだ。せめて、余計なデスク3つは処分しないと・・・。
と、ため息をついていたら、このビルで清掃などをしてくれる係のサルバドールに会った。すかさず、ジェームズが今になって家具を移動しろと言っている旨を説明。一通り話を聞いてくれたサルバドールは、「何とかするよ。デスク3つはもらい手を探してみよう」と言ってくれた。
その後、壁に塗るペンキとカーペットを選ぶためにジェームズに会いに行く。3年の賃貸契約を結べば、壁は好きな色に塗り替えてくれるし、カーペットも新しくしてくれることになっている。自分一人では不安なので、仕事を中断してもらって他のスタッフも一人、一緒に行ってもらった。
お隣のビルにある、マネージメント会社のオフィスに行く。ここで初めてジェームズとご対面。電話では何度も話していたのだが、これまで会ったことはなかった。ジェームズは声からのイメージとはちょっと違う。俳優で言うと、フィリップ・シーモア・ホフマンを少しこぎれいとした感じ。
そして、何百とあるカラーサンプルの中から、あれこれ悩んだ末、壁の色は「ホワイト・ブラッシュ」に決定。明るいクリーム色だ。カーペットは30種類ほどの中かから落ち着いたベージュ系にする。カーペットも「ローリング・ロック」というしゃれた名前まで付いている。
やれやれ、これでやっと壁と床が決定。来週半ばまでには改装は終わる予定だ。
しばらくして、サルバドールが再度やってきた。彼の表情からして、3つのデスクは引き取り手が見つからず苦労しているのかと思ったら、「もう2個は決まったからあとはまた明日ね」という予期せぬ朗報。サルバドールに大感謝!
同じオフィスビルのマネージメント会社の人間で、ジェームズとサルバドールとでは、こんなにも違う。
ジェームズはテナント管理全般を仕切っているマネージャーで、スーツを着て一日中奇麗なオフィス内で仕事をするホワイトカラーのアメリカ人。一方のサルバドールは、南米からの移民。清掃やエレベーターのオペレーションなどをやってくれるブルーカラーに属する。
サルバドールのように、現場にいる人間の方が日々の状況をよく理解しているから、テナントの身になって動いてくれるし、仕事もかなりまじめに誇りを持ってやっている。彼は今朝は4時半から働いていたという。労働条件は厳しいし、賃金だってジェームズより遥かに低いはずだ。
これは何もジェームズとサルバドールに限ったことではない。あの会社はオフィスの人たちは本当に無責任でろくに仕事をせず、ビル管理の労働者たちはみな勤勉で親切だ。そして、オフィスワークは白人が占め、労働の方はマイノリティの移民が占めている。
アメリカは、勤勉な移民たちによって支えられているという構図がこんなところにも見え隠れてしていると思う。
何はともあれ、引っ越し準備が少し進展した。
0426
このところ、ビルのマネージメント会社のサルバドールは、自分の顔を見ると必ず「引っ越しする日が決まったらすぐ知らせてくれ」と言う。台車とか脚立とか、引っ越しに必要なものを貸してくれるつもりのようだ。
サルバドールは、エル・サルバドル出身の気のいいおじさんで、ゴミの収集や掃除などのビル管理の仕事をしている人達の中でも一番の世話焼きだ。
来月には引っ越すことになっているFantasium オフィスなのだが、まだ引っ越し日は決まらず。
今日は午後から新しいオフィスのインターネット接続契約のためN社のセールスが来た。N社はこのビルとネットワークの大口契約をしており、このビルや周辺の状況を把握しているから話が早い。サービス内容を聞き、結局、DSLではなくより高速なT-1を入れることに決定、その場で申し込みをした。
夕方、新しいオフィスをまた見に行く。
果たして床はフローリングか、カーペットか、タイルか・・・。ビルのマネージメント会社のジェシーによると、今のタイルはだいぶ傷んでいるのでタイルがいいなら張り替えるべきだと言う。そうなるとコストも時間もかかる・・・。
肝心のマネージメント会社のジェームズは、床の見積もりを出して連絡をくれることになっているのだが、相変わらず電話がない!と思いつつ一日過ごし、気が付くともう午後5時を過ぎてしまった。明日の朝でもどうせ同じ事だろう。明日、こちらからまた連絡することにする。
夜はFantasium の社長と共に、定期購読している日本の雑誌をミッドタウンの日系書店まで取りに行き、その後は2人でミーティングらしきことを。250種類以上の日本酒が置いてある有名なレストラン&SAKEバーに行く。
ニューヨークでは数年前から日本酒ブームだ。カウンターで隣に座っていたアメリカ人も、「ダイギンジョウ」や「ジュンマイ」などという言葉も知っていて、驚きなのだがどうもアメリカ人が酒を飲んでいる姿は失礼だけどちょっと滑稽でもある。
このレストランのマネージャーの人によると、この頃は日本の焼酎ブームが猛烈な勢いでニューヨークにも上陸していて、50〜60種類の焼酎が輸入されているとか。数が多くてついて行くのが大変、というのも分かる気がする。
引っ越し手続きは明日の進展に期待しつつ・・・。
0425
何とも疲れた一日だった。
午前中、引っ越し先のオフィスにDSLラインのループとやらをインストールしにテクニシャンがやってきた。テクニシャンはビルの配線をあれこれ調べ、「このビルにある電話のラインには今は空きがないからできない」と言い残して去っていった。親切にもいろいろと技術的な事も説明してくれたのだが、専門的なことはさっぱり一つ分からず。こんな日に限ってウチの会社のテックは外出している。
いずれにしても、他のDSLプロバイダーとの契約を検討するべきだろうということで、早速3社に電話してみたのだがすぐ通じたのは1社だけ。とにかくその1社のセールスと、明日にも会う事にした。
午後から弁護士のところに行く。アメリカに住んでいると主にビザの事で弁護士のお世話になる。弁護士のジョージは、ミッドタウンにあるぴかぴかのビルにオフィスを構えている。一面ガラス張りでマンハッタンを見下ろす高層ビル内で、いかにも弁護士の事務所といった高級感のある室内。そこで向かい合って話をしていると、まるで映画のワンシーンに入り込んだようだといつも思う。
ジョージにはかれこれ5年以上もお世話になっている。会社の設立時から、スタッフのビザや自分の永住権まで面倒を見てもらっているのだ。今日も書類を11枚もらってきた。その書類をすべて記入して、来週にもまた会う予定だ。
夕方、今度は縁あって知り合った学生さんが授業のプロジェクトの一環でインタビューをしたいとのことで、映画と社会の関わりについて小一時間ばかり話をしたり、アンケートに答えたりする。何だかあまりにも拙い話しか出来ず、恥ずかしい限り。アメリカの大学の課題はなかなか大変だ。学生さんたちは、無制限に時間のかかるプロジェクトをよくこなしていると思う。
帰りがけ、ビルのマネージメント会社のジェームズと話す。新しいオフィスの改装のことだ。床の改装ではカーペットかフローリングのどちらかになるのだと思っていたのだが、実際に部屋を点検してみたら、その部屋の床がもともとタイル張りだったため、タイルという選択もあると言う。タイル張りの床というのはどんなもんだろう?フローリングとどちらがいいのか??
新しいオフィスの壁の色も決まっていない。壁の色はカラーサンプルを見てペンキの色を選ぶのだが、サンプルだけではちっともイメージが湧かず、なかなか決められない。
これも今週中には片づけたい雑務だ。