0316

» イカとクジラ [ Movie ]

The Squid And The WhaleThe Squid And The Whale: Special Edition
2006/3/21発売 米国盤DVD
2005年ノア・ボーンバッハ監督作。ジェフ・ダニエルズ主演。

若い頃に小説を出版していながら作家として芽が出ず、今は大学教師をしているバーナード(ジェフ・ダニエルズ)は、妻ジョアン(ローラ・リニー)と二人の息子、ウォルト(ジェシー・アイゼンバーグ)とフランク(オーウェン・クライン)と共にブルックリンで暮らしていた。数年前からすっかり冷め切っている夫婦の関係は悪化する一方で、バーナードとジョアンは遂に離婚を決意する。息子達の養育は共同親権 (joint custody) を保つ事になり、ウォルトとフランクは、母親の家と父親の家を行ったり来たりの生活を始める。やがてウォルトにはガールフレンドができ、バーナードの教え子(アンナ・パキン)が彼らの家に間借りするようになり、フランクは家や学校で奇妙な行動を取るようになる・・・。

ウェス・アンダーソンと共同で「ライフ・アクアティック」の脚本を手がけたノア・ボーンバッハが自分の経験を基に描いた自伝的作品。ウェス・アンダーソンは本作のプロデューサーを務めている。
主演は「スピード」でキアヌ・リーブスのパートナー役や、「グッドナイト&グッドラック」でTVディレクター役を演じたジェフ・ダニエルズ。妻ジョアンは「愛についてのキンゼイ・レポート」でキンゼイの奥さん役のローラ・リニー。ケヴィン・クラインとフィービー・ケイツの息子、オーウェン・クラインが次男フランクという重要な役どころでスクリーン・デビューを飾っている。

両親の離婚に揺れる思春期の兄弟を、日常の目線で描いた佳作。間違いなく実体験を基にしていると思わせるような、監督が過去を見つめている視線を感じさせる映画だ。ノア・ボーンバッハ監督も、両親の家を行き来する不便な生活を送りながら苦悩したのだろう。口では立派な事を言うが結婚生活さえ維持できない身勝手な親を、不完全なひとりの人間として受け入れられるようになる一歩手前の微妙な時期。その頃の個々の瞬間は鮮明な記憶として残り、単なる出来事以上のものになって後から振り返ることになる。

81分にこじんまりとまとめられた作品は、良質の短編小説を読み終えた時のような充実した気持ちになれる。「イカとクジラ」というタイトルを象徴するエピソードも、微笑ましくて切なくてとても良かった。全米批評家協会賞、ニューヨーク批評家協会賞では脚本賞を受賞している。

アナモルフィック収録のDVD画質は、80年代のブルックリンをノスタルジックな抑えた色調で表現。ところどころざらつき感がある。5.1ch音声はドラマ仕立てのため音響効果は控えめ。セリフはクリスプで明快な発音。

特典には、監督コメンタリー、撮影風景とキャスト・インタビュー含む舞台裏、監督へのインタビュー映像を収録。このインタビューを聞いてみて、なんだか始めて聞いたと思えなかったのが不思議だった。監督の言わんとすることは映画で十分すぎるほどに語られているというか、もうあれ以上の説明は要らない気がしたのだ。

この映画が奇妙なほどリアルに感じられてしまったのは、舞台となったのが自分が今住んでいるブルックリン、しかもかなり近所だったということがある。バーナードが離婚して公園の向こう側に引っ越すという会話があるのだが、公園の向こうに行くために不便な地下鉄を乗り継ぐカットは、まるでさっき見た光景。映画という気がしなかった。バーナードが路上駐車のためのスペースが見つからなくていらいらしながら運転しているのも、今も変わらない現実で、思わず笑ってしまった。

Posted by 尋 at 2006年03月16日 23:21
トラックバックURL


コメント



コメントしてください





・承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください
・お名前・メールアドレス欄は漏れなくご記入ください(メールアドレスは表示されません)

・名前、メールアドレスを保存しますか?