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» プライドと偏見 [ Movie ]
原題:Pride & Prejudice
Quad Cinemaにて。2005年ジョー・ライト監督作。キーラ・ナイトレイ主演。
ジェーン・オースティンの名作「高慢と偏見」を、本作品でオスカーにノミネートされ今が旬の女優キーラ・ナイトレイの主演で映画化。監督は英国アカデミー賞で監督賞を受賞した新鋭ジョー・ライト。
18世紀末イギリスの田舎町。ベネット家の5人姉妹は、資産家のビングリー家が近隣の邸宅に移り住み、明晩の舞踏会に来ると聞いてにわかに色めきだっていた。財産相続権を持たない娘たちにとっては、結婚が人生のすべて。ベネット家の母親は、彼女達をお金持ちに嫁がせることに躍起になっている。
そして舞踏会の夜、ビングリー(サイモン・ウッズ)とベネット家の長女ジェーン(ロザムンド・パイク)はお互いに少なからぬ好意を抱く。一方、次女エリザベス(キーラ・ナイトレイ)は、ビングリーの親友ダーシー(マシュー・マクファディン)の高飛車なものの言い方に強い反感を覚える。その後もあらぬ誤解から、エリザベスはダーシーにますます嫌悪感を抱いていくのだが・・・。
本作品の米国盤DVDレビューは、DVD Fantasium サイトの「ディスク・レビュー」に掲載しているので、ここではそれに書ききれなかった感想を。
2月21日に発売された米国盤DVDを観て映像の美しさにすっかり魅了され、マンハッタンで一館だけ上映していた「Pride & Prejudice」を観てきた。DVD観賞直後に同じ作品を映画館で観たのは初めてのこと。後から映画を観たことで、DVDのクオリティのすごさを再確認することになった。イギリスの叙情的な田園風景を捉えたシネマトグラフィーは息を呑むような美しさがあり、DVDではそれを映像と音によって臨場感たっぷりに再現している。
原作の「Pride & Prejudice」は、イギリス人やアメリカ人は誰もが知っている古典小説。トム・ハンクスとメグ・ライアンの「ユー・ガット・メール」で、カフェで二人が会うシーンでメグ・ライアンが読んでいるのがこの本。そこでの会話にもエリザベスとダーシーが話題に挙がっている。
1995年にBBCが本作をTVシリーズ化した時には絶大な人気を博し、「Pride And Prejudice」のダーシーと言えば、このTV版のコリン・ファースのイメージがすっかり定着してしまった。誰が映画化してもTV版と比較されることは避けられず、さぞ難しいだろうと思ったら、本作はTV版を意識したとも思えないほどに一つのオリジナル作品として完成されている。
ウィットに富んだ会話が連なって瞬間ごとに微妙な心情を表した原作とも、エリザベスとダーシーの心の変化をじっくり描いたTV版とも違い、ドラマチックに仕上がった恋愛映画。
2時間と少しの間にいくつものエピソードを凝縮しているから、原作やTVのようにじわじわとはいかないのだが、原作からの巧みなアダプテーションが演出として効果を発している。
例えばエリザベスとダーシーが初めて出会う舞踏会での一連のやりとり。原作のままの部分と新たに付け加えたセリフが、短い時間内で二人が抱いた相手の印象を巧く表している。また、エリザベスとダーシーが会う機会をそれぞれ劇的に演出しながら(ネタバレになるので詳細は略)、画面作りでは細やかな演出センスが光っている。
練られた脚本、繊細な演出、美しいシネマトグラフィー、透明感のあるサウンドトラック、味わいのある人物描写や演技。キャストについては主演の二人はもちろん、父親役のドナルド・サザーランドのキャサリン・デ・バーグ夫人役のジュディ・デンチも絶品だ。
文芸史上揺るぎない位置にある原作小説があり、伝説的な人気を持ち続けるTV版があり、それらを超えてしまうほどに感動が凝縮された映画。
いまさら過ぎるけれど、映画って素晴らしい・・・。
Quad Cinemaはマンハッタン13丁目にある2番館。4つあるシアターのうち一番大きなところでアカデミー作品賞に選ばれた「クラッシュ」が上映されていた。日曜の午後、年配の女性や老夫婦など合わせて十数人の観客。自宅でDVDを観るのとは違って、見知らぬ人たちと隣り合わせに座り、同じシーンで笑い、涙ぐみ、共感しあうひとときの映画体験は何とも幸せな気分になれるものだった。






