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ミュンヘン [ Movie ]

Munich原題:Munich
Loews 19th Street Eastにて。
2005年スティーヴン・スピルバーグ監督作。エリック・バナ主演。
1972年、ミュンヘン・オリンピックの真っ只中、パレスチナのテロリスト「黒い9月」がイスラエル人選手11人を殺害した事件と、イスラエル人による報復劇を実際の映像も交えてリアルに描く。ジョージ・ジョナスによる原作「標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録」を、HBOミニシリーズ「エンジェルス・イン・アメリカ」のトニー・クシュナーが脚本化。イスラエル政府によって極秘に集められる暗殺グループのメンバーを、「ハルク」のエリック・バナ、次のジェームス・ボンド役に決まったダニエル・クレイグ、「ゴシカ」の監督であり「アメリ」でアメリが恋に落ちるニノ役のマチュー・カソヴィッツなどが演じている。


映画の感想を書くにはこれ以上難しいテーマはない。イスラエルとパレスチナの紛争という歴史的、政治的に根の深い問題をあのスピルバーグが映画化したということで、事実性や思想を巡って世界中で物議を醸している作品だからだ。
しかし一本のサスペンス映画として考えれば、スピルバーグの才能が存分に発揮された優れた作品だと思う。モサド暗殺チームが、ミュンヘン事件に関わったとされるパレスチナ人を一人ずつ探し出し、殺害する過程がヨーロッパの美しい街を舞台に綿密に描かれている。そのディティールが多ければ多いほど、観ている方はリアルに感じられるのだ。164分という長い上映時間も、絶妙なタイミングで極度の緊張が織り込まれていて、あっという間に感じられた。観客の目をスクリーンに釘付けにする映画技法はさすが。「プライベート・ライアン」に近い陰惨な殺戮シーンは、事件の重さがストレートに伝わり、人間の残酷性を嫌が応にも見せつける。エリック・バナが演じる暗殺団のリーダー、アブナーが最初は家庭的な男の顔をしていたのが、段々とテロリストの人相に変わっていく様もすさまじい。
使命が一段落したアブナーが帰って行くのは、彼の家族が密かに暮らしているブルックリンだった。見慣れたブルックリンの街並みに続いて、ラストシーンではマンハッタンの摩天楼が象徴的に映し出される。ミュンヘン事件は、まだ終わっていない暴力の連鎖の一部分に過ぎない・・・
ニューヨークで暮らしている者にとっては、あまりに重すぎる現実だった。


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