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» レント [ Movie ]
原題:Rent
Loews 34th Streetにて。2005年クリス・コロンバス監督作。ロザリオ・ドーソン主演。
プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」を現代に置き換えて、故ジョナサン・ラーソンによって作られたブロードウェイミュージカル「レント」。1990年代のNYイーストビレッジに住む若者たちの貧困や苦悩、ホームレス問題、エイズ、同性愛などを扱って圧倒的な支持を得、1996年のトニー賞やドラマデスク賞などを総なめ。現在もロングラン中で、来年で10周年を迎える人気作品だ。
ジョナサン・ラーソンとともに舞台を作り上げたオリジナルキャストたちは、熱心なファンの間では伝説化していると言っても過言ではないが、そのキャストたちの多くが出演して、「ハリー・ポッター」シリーズで知られるクリス・コロンバス監督が舞台を映画化。もちろん、舞台で使われている楽曲のほとんどはそのまま映画でも使われ、映画公開を待ち望むファンにとっては、予告編だけでも興奮と涙である。
物語は、ほぼ舞台の通り進む。
1989年のクリスマスイブ。映像作家のマーク(アンソニー・ラップ)とロックミュージシャンのロジャー(アダム・パスカル)はルームメイトで、家賃を払えず暖房も切られた寒いアパートで、暖をとろうと悪戦苦闘している。以前ルームメイトとして一緒に暮らしていたベニー(テイ・ディグス)は、金持ちのお嬢様と結婚して今やマークたちのアパートの大家であり、家賃を払えとしつこく迫ってくる。別の元ルームメイトである哲学者のコリンズ(ジェシー・L・マーティン)は、マークたちのアパートへ行く途中でちんぴらに襲われ、ストリートドラマーのエンジェル(ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア)に助けられる。心に傷を負い引きこもるロジャー、パフォーマーの彼女モーリーン(イディナ・メンゼル)がレズピアンの恋人を作ったため振られたマーク、マークたちと同じアパートに住み、ロジャーに接近するSMダンサーのミミ(ロザリオ・ドーソン)など、イーストビレッジに住む人々の感情や思惑が絡み合う中、友情や愛情、貧困や病気との闘い、孤独、自分を表現する欲求などが、若いパワーとともにひりひりするような切ない現実感で浮き彫りにされていく。
ミュージカルを観た事があるならば、ストーリーやキャラクターのバックグラウンドなどはすでにわかっているので、舞台ではセットの「見立て」(舞台にあるガラクタや鉄くずの山が、場面によってクリスマスツリーを表したり、教会を表したりする)や、歌詞だけで表現されていたような場面が、しっかりわかりやすく映像化されていることを確認するだけでも楽しい。また、舞台の楽曲はほぼそのまま使われているが、時折歌詞が普通のセリフとしても使われており、歌詞をよく知っているとその使われ方も面白い。
ただし、いくつか舞台では重要と思われる歌が削られていたり、1つの歌の中で一気にストーリーが駆け足で進んでしまったりする部分もある。舞台に思い入れがなければたいした問題ではないと思われるが、舞台ファンにとってはこういった部分は物足りないだろう。
筆者はかなり舞台に通った舞台ファンなので、好きな歌が削られて悲しかったり、舞台と比較してのツッコミどころはたくさんあるのだが、それでも映画鑑賞中には削られていることに気づかなかった歌も意外とあった。やはり、舞台の場合は歌唱力や楽曲の演奏といった、キャストのパフォーマンスそのものも鑑賞対象であるのに対し、映画の場合あくまでも音楽は、作品を構成するたくさんの要素の中の一部であり、もちろんミュージカル映画なのでその比重は比較的高いとはいえ、その主要な要素を占めるわけではないということなのだろう。その辺りの塩梅は難しいと思うのだが、本作はよく処理されている方なのではないか。
そう考えると、「シカゴ」のロブ・マーシャル監督は、際立って上手い作品処理だったといえる。
ただし、舞台を全く知らず、この映画で初めて「レント」を知る人にとっては、ストーリーが少々わかりにくいのではないかとも思う。大切な事実が歌詞1つで通り過ぎてしまったり(これは舞台でも同様なのだが)、先述の通り1曲の中で(強引と思えるほど)ストーリーが駆け足で進んでしまったりすることもあり、話がわかっている筆者でも「え、まさかそうなる?」と思う場面があった。また、アメリカのテレビドラマやミュージカルに精通している人でなければ知らないであろうキャストが多く、日本では地味な作品と思われがちとも聞く。
キャスティングに関しては、もちろん全オリジナルキャストが出演しているわけではなく、特に主演のミミ役を「シン・シティ」のロザリオ・ドーソンが演じることに懸念する声もあった。しかし、初演当時圧倒的な存在感を見せつけたオリジナルキャストの女性は、初演当時ですでに、16才の設定であるこの役を演じるには大人過ぎる容姿だったため、今回若い(といっても26才だが)ロザリオがこの役を演じていることに違和感はなかった。また、オリジナルキャストの印象があまりにも強すぎるこの役を、オリジナルに負けることなく演じるには、無名の女優を使うよりは、ロザリオの知名度はかなり有効だったといえるだろう。
ちなみに、NY在住者や、NYが好きな人にとっては、撮影場所(NYと西海岸)がどこかを注意して見るのも楽しい。作中登場する「ライフ・カフェ」などは、現在も実在する。冒頭の名曲"Seasons of Love"は、現在ミュージカルが上演されているネダーランダー・シアターで撮影されたそうだ。







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