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11月の第4木曜は、親類一同揃ってロースト・ターキー(七面鳥)を食べるサンクスギビング・デー(感謝祭)。アメリカでは一年で一番重要な祝日がサンクスギビングだ。
毎年、サンクスギビング前後は世の中が完全にホリデー・ムードになる。一般企業がお休みとなるのはサンクスギビング当日とその翌日だけだが、この週は月曜日から仕事に身が入らない人ばかりで、サンクスギビングの前日は半ドンで済ませるというのが暗黙の了解。旅行や帰省のためのスーツケースをひきずって出社し、朝だけオフィスに顔を出してお茶を濁し、さっさと消えてしまう人も多い。
基本的に、サンクスギビングの趣旨は「飲み食い」。とにかく食べる。アメリカではこの日、およそ4500億羽(!)の七面鳥が、丸ごと料理されるそうだ。その料理の大変さといったら、「エイプリルの七面鳥」を見るとよく分かる。NYに住む若い女の子がサンクスギビングにロースト・ターキーを作って、遠く離れた家族を自分のアパートに呼び寄せるというストーリー。ターキーの作り方から、アメリカン・ファミリーの悲喜こもごもまでを面白可笑しくほのぼのと描いている。
サンクスギビングの翌日は、俗にブラック・フライデー(この日を境に商店が黒字に転じるという願いが籠こもった呼び名)と呼ばれる、クリスマス・ショッピング開始の日。デパートでは一斉にバーゲンセールを始め、一年で一番物が売れるのがこの日だ。このショッピング戦争はクリスマスまで続く。
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「明日彼女の写真をみせてやるよ」と言い残していったアイブン。翌日、楽しみにしながら荷物を持っていくと、トラックにはアイブンの姿はなく、代わりにチャイニーズ系運転手が来ていた。翌々日もアイブンの姿はなかった。それから2週間、アイブンは一度も現れなかった。
2週間後の月曜日、いつもの様にトラックに向かうと、トラックには見慣れた姿が。アイブンが戻って来た。向こうもこちらの姿を確認できたのか”Did you miss me?”(俺に会えなくて寂しかったかい?)と叫んでいる。”Of course.”(もちろん)と答えると”You are a lier.”(嘘つき)と言われた。写真を持って来てくれたのかと訊ねると、”I forgot.”(忘れた)と頭を抱えている。すっかり忘れていたようだ。もちろん”You are a lier.”(嘘つき)と言い返してやった。
翌日、トラックへ行くとアイブンは何かを眺めていた。アルバムだった。写真を一枚持ってきてくれるのだとばかり思っていたら、彼は大きなアルバムごと持って来た。そして一枚ごとに、これは「バーベキューをした時の写真だ」などと解説しながら見せてくれた。「かわいいだろ」となんとも得意げなアイブンであった。
しかしそこでひとつ疑問が湧いた。なぜ日本人のガールフレンドを探しているにも関わらず、この目の前にいる私に一言も声をかけてこないのだろうか。アイブンの答えは”You are OK for me.”だった。この場合の”OK”は「良い」という意味ではない。可もなく不可もなくといった意味合いになる。要するに対象外ということだ。
その答えに納得していいものだろうかと疑問に思ったが、自分は発送する荷物をきちんと受け付けてもらうのが目的だ。彼女の写真を見せてもらう仲になれば、しばらくはジョークを軽くかわしながら、発送業務はスムーズに完了できるだろう。しかし、気まぐれなアイブンのことだから、もしガールフレンドができてケンカでもした日には、どんな厳しいジョークを言われるか・・・。それはそれで、楽しみでもあるが。
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ある日、突然、「もうお前の荷物は持っていってやらない」と言い出したアイブン。”Why?”と尋ねると、返ってきた答えは、「俺に日本人のガールフレンドを紹介してくれないから」だった。思い起こすと数ヶ月前、自分は夏のバケーションに日本に帰国するという話をした際、「日本からいい子を連れて来て紹介してくれ」と言われたことがあった。よく人のいう「誰かいい人がいたら紹介して」という軽いものだと思い、”OK”と適当に答えておいた。しかし、アイブンは本気だったのだろうか。よく話を聞くと、今まで3人の日本人の女の子と付き合ったことがあるらしい。そして今でも日本人のよく集まるバーやクラブに顔を出しているというのだ。
「そこまで本気だったとは思わなかった」というと、”I’m serious.”(俺は真剣だ)とアイブン。そして以前のガールフレンド、M子さんの話を始めた。M子さんが語学留学生としてアメリカに来ていた時にアイブンと知り合ったが、学校を終えたM子さんは日本に帰国してしまったという。帰る際に、「また戻ってくる」と言い残していったものの、結局戻って来なかった。
彼女の連絡先も知らず、彼女からの連絡もない。その後、アイブンは仕事もアパートも変えてしまったため、例えM子さんが連絡を取ろうとしても、できないというのだ。”I don’t know if she tried to call me.”(彼女が連絡しようとしたかわからないけど)と言うアイブンだったが、その表情からは、きっと彼女は連絡しようとしたはずだという願いが感じられた。”I’m sorry.”(残念だね)と答えると、「明日彼女の写真をみせてやるよ」と言って去っていった。
仕事の付き合いなのに、「女の子を紹介してくれないから荷物を持っていかない」などという冗談も、アメリカでは何の不思議もないことで、こっちもすっかり慣れてしまった。仕事でもジョークを言い合って親しくなり、お互いスムーズにビジネスを行う、というのはアメリカ人とのコミュニケーション上、大切なことだ。
ガールフレンドを紹介しなくたって、荷物はちゃんと受け付けてくれるのだが、ちょっとかわいそうなので誰かひとりくらい紹介してあげたいとは思うが・・・。
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Fantasiumのオフィスは、マンハッタンのど真ん中、映画「スパイダーマン」の撮影でも使われたフラット・アイロン・ビルの近くにある。そのすぐたもとにあるマジソン・スクエア・パークの向かい側に、毎日、夕方になると一台のトラックがやってくる。それが郵便集荷のトラックである。
そこにトラックがやってくるのは、4時20分頃。時間は日によって多少前後するが、トラックが到着すると、たくさんの郵便物を抱えた人々が周辺のオフィスからぞろぞろと出てくる。このトラックはただの郵便集荷ではなく、バルク・メールと呼ばれる大量郵便物の集荷専門で、フラット・アイロン・ビル周辺の大量郵便物をまとめて面倒見てくれている。
毎日、4時20分になると、Fantasium のオフィスの窓から顔を出す。オフィスが入っているブロードウェイ沿いのビルの10階からは、フラット・アイロン・ビルを眺めることができる。体を乗り出せば、そこにやってくるトラックの姿も見えるのだ。なにしろ時間がいまいち一定していないので、遅い時には何度も窓から顔を出し、トラックを探す。来ているのを確認したら、EMS(国際速達便)の荷物をカートで運び、一つ一つ受付してもらってトラックに乗せて完了。
そのトラックの運転手がアイブンである。最初は無愛想だったが、今ではすっかり仲良くなり、トラックの後方左端部分の広いスペースをFantasium専用に確保しておいてくれるようになった。発送量が多い日には、自分の背丈ほどに積み上げた荷物を持っていくと、”Oh! my God.” と大げさに驚きの声をあげ、”Are you killing me?”(俺を殺す気か?)と嘆く。しかし、たいてい”Please.”とお願いすると、”All right, you are a good girl.”(仕方ないな〜、お前はいいやつだし)という具合に荷物を受け付けてくれる。このようなやりとりをしながら発送業務は行われてきた。
しかし、ある時いつもと同じように荷物を持っていくと、アイブン「もうお前の荷物は受け付けてやらない」と言い出した。一体、何が起こったのだろうか。”Why?”(なぜ?)と聞くと、彼の答えは。。。次回に続く。
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アメリカでは一年で一番重要な祝日、11月の第4木曜のサンクスギビング・デー(感謝祭)のホリデーに合わせて、DVD Fantasium も30日まで臨時休業をすることになった。
2年前まで、サンクスギビング・ホリデーの間も普段通り業務を行っていた。いや、行おうとしていた、というのが正しい。実際はほどんど何もできなかった。配送業者が休業するので商品の入荷はストップ。問屋は休日でもやっているだろうと思ったら、どこも軒並お休みで発注を出そうにも電話も通じない状態。かろうじて郵便局だけは感謝祭の当日を除いて稼働していたが、ほかはどこもかしこも休業とあっては、自分だけがどうあがいても仕事にならないのだった。それならば、この機会を利用してスタッフも休暇を取ろうということになった。ほぼ年中無休のオンラインショップではあるが、年に一度の臨時休業となる。
サンクスギビングからクリスマスまでの間は、ホリデー・ギフト・シーズンと呼ばれており、夏のバケーションに次ぐ休暇シーズンだ。街にもそろそろクリスマス飾りが出始めた。11月、12月のアメリカは、盆と正月がいっぺんに来るような楽しい気分になる。